2012年7月31日
先日は、娘の不活化ポリオワクチン接種、
「さかいたけお・赤ちゃんこどもクリニック(仙台市)」へ。
ご存知のように、現在行われている(口から飲む)ポリオ生ワクチンは8月末で中止になり、9月から全国一斉に不活化ポリオワクチン(筋肉注射)に切り替ります。
それまでに不活化ポリオワクチンを受けたい方は、仙台では、さかい先生のクリニック(不活化ワクチンを個人輸入されています;自費)でということになります。
さて、中止となる理由・・・それは現行のポリオ生ワクチンでは、ポリオ(小児麻痺)になる危険性があるからです。
ポリオ(小児麻痺)とは、ポリオウイルスにより手足の筋肉が麻痺(弛緩性麻痺)する病気です。麻痺は生涯続くことが多く、発症してしまうと有効な治療法がありません。
これまで多くのお子さんが、この(国の定めた)ポリオ生ワクチンを受け、ポリオ(小児麻痺)になってしまうという、あってはならない悲しい事態が続いてきました。危険は承知だけれど、国が認めているのは生ワクチンしかないので、渋々受けていた方も多いのです。
我が国において、ポリオ(小児麻痺)は1981年以降、つまり30年以上、”自然感染”での発生がありません。これは、裏を返せば、”ポリオ生ワクチンさえ受けなければポリオ(小児麻痺)にならなかった”という、とんでもないことを意味します。
“我が子を病気から守ろうとして予防接種を受けさせるのに、病院からポリオ(小児麻痺)になって帰ってくる”
子をもつ親として到底、許される話ではありません。
生ワクチン廃止の声が年々、非常に高まっていました。
そして・・ようやく、やっと・・生ワクチン中止、不活化ポリオワクチンの開始です。
先進国より遅れること10年以上(涙)。
当然ですが、この不活化ワクチンで、ポリオ(小児麻痺)になることはありません。
さかいたけお先生は、2008年9月に現こどもクリニックを開院されて以降、不活化ポリオワクチンを個人で輸入してまで、子どもたちへの安全な医療を追求、そして実践してこられました。
訪れた人には分かります。
さかい先生が目指していらっしゃる医療「寄り添う医療」と姿勢「限りないやさしさ」、これを実感できるクリニックだということを。
よく息子から「パパは、空手の時はメチャ厳しいけど、他のことはアマアマだね」と言われます。さかい先生の言う真の「やさしさ」を追求すべく、メリハリをもって頑張っていかねば、と思っています。
2012年7月27日
若年性アルツハイマー病と診断された父親(豊川悦司)と、その父親をひたむきに支えていく娘(芦田愛菜)のせつない親子愛を描いたドラマ。
「ビューティフルレイン(日曜、夜9時 フジテレビ系列;第4話まで終了)」
毎週、息子とみています。
全国で推定患者数10万人と言われる若年性アルツハイマー病、
働き盛りの世代を突然襲うこの病気は、決してドラマの世界だけの話ではありません。
僕が何か困ったことがあると、よく相談にのってもらっていた先輩医師のお母様も発症され、闘病生活を余儀なくされていました。先日、先輩はお母様の看護・介護のために宮城を離れ、実家のある他県にお戻りになりました。
18歳~64歳で発症する若年性アルツハイマー病、
主な原因として、現状ではアミロイド仮説が支持されています。
脳にβ-アミロイドというタンパク質が溜まりだすことにより、健全な神経細胞を変性・脱落させて、脳の委縮が進行していくという考えです。
若年性の場合、初期には自覚症状に乏しいため、家族からの勧めで脳のCTやMRI検査を受けて告知されるケースも多い様です。
初期段階での物忘れは、記憶障害(最近のことを忘れる)からやがて、時間・場所・人の見当がつかなくなる状況へと進行していきます(次第に過去の記憶や経験を失っていきます)。
治す薬はまだありません~進行を遅らせる薬を使用していきます。
薬以外で、アルツハイマー病の進行を遅らせると考えられる手立て・・
まずは、"カロリー制限"。高脂肪食は、脳中のアミロイド斑の形成を増加させ、記憶力を著しく低下させます。
"魚に含まれるDHA(不飽和脂肪酸)"は認知症の予防効果に優れ、すでに沈着してしまったアミロイド斑を減少させる効果も示されています。
他には、ウコンに含まれる"クルクミン"、緑茶のカテキンの主成分の"エピガロカテキンガレード"、"リンゴポリフェノール"などが知られています。
それと、近年発表された興味深い調査結果を2つ紹介します。
一つ目は、ニューヨークに住む成人1984人に対して・・
地中海食に最も近い食事を摂っている人は、最も地中海食から離れている人に比べ、アルツハイマー病の発症リスクが68%も低下していた。
*地中海食:オリーブオイル、果物、野菜、豆類、魚類を多く摂取して、アルコールと肉、乳製品を少量に抑えるのが特徴です。
二つ目が、日系アメリカ人1836人を対象に行われた大規模疫学調査・・
週3回以上、野菜または果物ジュースを飲む人は、週1回未満の人に比べて、アルツハイマー病の発症リスクが76%も低下していた、というもの。
何としても守りたい、それでも、かけがえのない家族を守れなかった時に
人はどのように行動すれば良いのでしょうか?
子育て真最中の自分が、もし、子どもたちを分からなくなってしまったら・・
哀しいではすまされない・・必死に答えを探しても分からない。
いろいろと考えさせられることの多いドラマです。
2012年7月13日
今回は多忙の夫に代わり、ブログを更新させて頂きます。
いつもつたない夫に、暖かいご支援を頂き、ほんとうに有難うございます。
我家の庭に紫陽花が咲きました。
色とりどりの花たちが咲き誇る、とても綺麗なお庭の近所の方から、
挿し木した紫陽花を頂いたのが2年前のこと。
「どの紫陽花だったか、何色が咲くか分からないけど…」
咲くのが待ち遠しく・・
しかし、昨年の大震災の津波で我が家はヘドロとガレキにまみれ、
30cm程の背丈だった紫陽花の姿はありませんでした。
ところが・・ガレキを撤去して数週間、紫陽花の芽をみつけたのです!
当時、被災地のお母さんたちは、言葉では表せないほど大きな不安を抱えていたと思います。
妊娠中だった私も例外ではありませんでした。
しかし、この紫陽花の生命力に、「お腹の子も、きっと無事に生まれてくれる!」と、
希望の光がさしているように思えたのでした。
その後、庭の土を入れ替え、新たに庭を造ることになりました。
切迫流産で体調が悪かった私に代わり、妹が紫陽花を鉢に移し、新しくなった庭に植え替えました。
震災がなければ去年咲いてたであろう紫陽花、
とても深く澄んだ、凛々しい青、
今年、見事に咲いてくれました。
昨年8月11日に生まれた娘の成長を見守ってくれているかのよう。
3人の育児に追われ、「あぁ、今日も何もできなかったなぁ・・」と思う日が多々あります。
先日、玄関先で近所のママとこんな会話。
「私の通院と子どもの通院で、ほんと何もできない日ばかりで・・・」
「そうそう、うちも子どもが週2で通院しているの。何もできないよね。何て言うか、生産的じゃない日々って言うのかな・・・」
「わかる、わかる!」
私が時々購読する雑誌のエッセイに、こんな詩が引用されていました。
ニュージーランドのお母さんが書いた詩だそうです。
「ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは、澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことをしていたんだって。
そして もし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ。」
そう、私たちは何もできない一日を過ごしているわけではないのかもしれません。
ちゃーんとやっている。
「あぁ、今日も何もできなかったなぁ・・」と思う日には、この詩を思い出そう。
そして、外に出て陽のあたる紫陽花を、子ども達と一緒に見ることにしよう。
震災から1年4ヶ月、
悲しみや苦難、不安の中にいる方にも、希望の光がさしますように…
心から願っています。
妻記